ドローン外壁調査の解析・報告書作成を支援。株式会社PiQサポが追求する「伝わる報告書」
ドローンによる建物外壁調査では、撮影後の解析や報告書作成が欠かせない。調査結果を正しく伝え、次の判断につなげる役割を担うからだ。だいしんシェアオフィスYUMEARATA会員の藪内悠さんは、妹の望月紀子さんとともに株式会社PiQサポを設立し、ドローン外壁調査の解析・報告書作成を軸に、現場の業務改善や新規事業の立ち上げ支援、ドローン活用の仕組みづくりなど、様々なプロジェクトに携わっている。


豊富な解析経験が支える柔軟な対応力
株式会社PiQサポが強みとしているのは、ドローンによる外壁調査の解析と報告書作成である。撮影されたデータから建物の状態を読み取り、劣化や不具合の状況を整理して伝える工程だ。
藪内さんがドローン外壁調査の分野と出会ったきっかけは、妹の望月さんだった。望月さんから「大阪でリモート業務ができる人材を探している」と声をかけられ、育休明け後の働き方に悩んでいた藪内さんは事業に参画。
そこからは営業戦略やマネジメント、営業サポートを担当する一方で、解析や外壁調査業務についても少しずつ学び始めることになる。そして、赤外線解析の資格取得を機に解析業務にも本格的に携わるようになり、実務経験を重ねながら知識と技術を磨いていった。
解析の専門知識と豊富な実務経験を持つ望月さんと、営業の現場で顧客の課題に向き合いながら解析を学んできた藪内さん。それぞれの強みを掛け合わせることで、独自のサービス体制が実現している。

解析の経験を強みとしているからこそ、「この壁面だけ見てほしい」といった部分的な依頼にも対応できると藪内さんは話す。
「納期に間に合わない。途中で手が回らなくなってしまった。そんなときにも、気軽に相談していただける存在でありたいと思っています」
撮影から解析まで一括で請け負う会社が多いなか、状況に応じて一部分だけの依頼にも対応できる柔軟さは、株式会社PiQサポならではの大きな特徴だ。
専門家でなくても理解できる報告書を目指して
解析の仕事の核にあるのが、報告書を「分かりやすくする」ことへのこだわりだ。その原点は、藪内さん自身が外壁調査の業界に入った当時の経験にある。
「知識のない状態で初めて報告書を見たとき、『専門的ですごく難しいな』と思ったんです」と、当時の率直な印象を振り返る。

外壁調査の報告書は、修繕会社や管理会社など、専門家同士で扱われる場面が多い。一方で、分譲マンションの管理組合や学校・施設の担当者など、専門家ではない人が内容を確認し、修繕の判断に関わることも少なくない。報告書が分かりにくければ、適切な判断につなげることも難しくなる。
そこで藪内さんたちが目指したのは、専門知識がなくても内容を把握できる報告書だ。必要な情報はしっかり盛り込みながらも、建物の状態や優先的に対応すべき箇所が把握しやすい構成を追求し、独自のフォーマットを作り上げてきた。もちろん、お客様が指定する様式への対応も可能である。
その取り組みは実際の評価にもつながった。
「ある学校の施設管理担当者様から、『今まで受け取った報告書のなかで一番分かりやすかった。どこから修繕を進めるべきか判断しやすかった』というお声をいただいたのが嬉しくて」と、当時を振り返る藪内さんの表情には、喜びの色がにじんでいた。

より精度の高い解析のために、現場理解を深める
株式会社PiQサポでは、より精度の高い解析を実現するため、二人がそれぞれ資格を取得し、現場理解を深めている。ドローン外壁調査では、解析は撮影後に行われる。しかし、どれだけ高い解析技術を持っていても、必要な情報が撮影されていなければ正確な判断は難しい。だからこそ同社では、解析だけでなく撮影現場との連携も大切にしている。
「免許を取得したことで、飛行に関する法律や運用への理解が深まりました。だからこそ、現場の状況を踏まえながら、解析に必要な情報を撮影者へ具体的に伝えられるようになったんです。」

現場で必要な情報を共有できれば、撮影後の手戻りを減らし、より精度の高い報告書につなげることができる。また、経験の浅い操縦者に同行しながら撮影方法を伝えることで、人材育成とコスト削減の両立も可能になると藪内さんは続ける。
「ただ費用を抑えることを優先するのではなく、調査の目的に応じて必要な情報を確保しながら、最適な方法を提案したいと思っています」 調査の精度とお客様の負担の両方を見据えながら、最適な方法を探る姿勢がうかがえた。
外壁調査以外の相談が寄せられる理由
解析を軸にしながら、藪内さんたちのもとには、それ以外の相談も寄せられるようになっている。ドローンを使った映像制作や、バックオフィスの整理、電気通信工事現場でのドローン活用相談、さらには地域の農業用水の管理まで、内容はさまざまだ。
一見すると外壁調査とは関係のない仕事に見えるが、藪内さんは「根本的なところは同じ」と話す。
「お客様のお話を聞いていると、『ここに困っている』とおっしゃっていても、実はその手前に別の課題があることも結構あって。まずは状況を整理して、本当に優先して取り組むべきことは何かを一緒に考えるようにしています」

外壁調査の仕事でも、調査の依頼内容だけを見るのではなく、建物の状況やお客様の目的までを丁寧に確認する。そのうえで必要な調査範囲や進め方を提案している。
使う人に合わせた仕組みを考える
使う人に合わせて最適な方法を考える姿勢は、ある自治体から相談を受けて現在進めている(2026年6月時点)、農業用水管理の仕事からもうかがえる。
これまでは田んぼの所有者が自分で様子を見に行き、水が不足していれば赤旗を立てる。そして翌日、「水入れ係」がその全域を見て回り、どの水門を開ければよいかを、経験を頼りに判断していた。しかし、作業は真夏の7月から8月に集中する。高齢化も進むなか、この負担を少しでも軽減できないかという相談が寄せられた。
そこで藪内さんたちは、田んぼごとの所有者情報や給水ルートを整理して地図上で見える化し、LINEで情報共有できる仕組みを整えた。
ここで使う「地図」は、Googleマイマップの機能をカスタマイズしたもので、高齢の方も多いため、紙に印刷したものも合わせて使ってもらう予定だ。
当初は、専用アプリの開発も検討したというが、
「高齢の方には使いにくいかもしれない。だったら、LINEや地図のような身近なツールを活用した方がいいのではないかと思ったんです」
と、実際に使う人が無理なく使い続けられることを優先した。
便利な仕組みを作ることが目的ではない。実際に使う人が無理なく利用でき、将来の世代にも引き継ぎやすいことが大切だという。

それぞれの専門性が、会社の強みになる
株式会社PiQサポは、藪内さんと妹の望月さんによる共同経営の会社だ。法人化以前から二人は同じ事業に携わり、望月さんは外壁調査の解析・報告書作成を、藪内さんは営業企画や業務プロセスの改善を担ってきた。
その会社が閉鎖することになったとき、二人はかねてより受けていた案件を引き継ぐ形で、一緒に法人を立ち上げる道を選んだ。それぞれが別々に会社を持つという選択は、はじめから頭になかったという。
ここまで見てきた柔軟な対応力や分かりやすい報告書づくりも、二人それぞれの専門性があるからこそ実現できている。藪内さんは、広報や広告、不動産業界での経験を通じて、企画・提案力、コミュニケーションの力を磨いてきた。一方の望月さんは、バックオフィス業務で培った情報整理・実務力・業務効率化に加え、外壁調査の画像解析やAIシステム開発に携わり、専門的な知識と技術を積み上げてきた。
そんな役割や得意分野は異なる二人であるが、仕事に向き合う姿勢には共通点が多い。 「考え方が違うところは、もちろんあります。でも、根っこの価値観はとてもよく似ていて」と藪内さん。

方針でぶつかることはほとんどなく、具体的な進め方を建設的に話し合える関係性が、現在の事業を支えている。
自分たちらしい働き方をこれからも
これからどんな会社にしていきたいかを尋ねると、藪内さんは経験を交えながら、目指す会社の姿について話してくれた。
「仕事や家庭、住む場所など、さまざまな理由で働き方を見直さなければならない場面が出てきますよね。そういうときでも、そのまま働き続けられるような環境をつくっていけたらと思っています」
藪内さん自身、出産をきっかけに毎日出社して働くスタイルが難しくなった時期があった。望月さんも、夫の転勤による転居を機に業務委託として独立し、場所に縛られない働き方を続けてきた。
「規模に関わらず、働き方に制約のある人でも力を発揮できる場を提供できれば、一つの目標は達成できるのかなと思います」
その言葉には、自分たちらしい働き方を実践してきた二人だからこその確かな説得力があった。
あとがき
株式会社PiQサポの仕事の根底にあるのは、情報を整理し、相手に伝わる形へと落とし込む姿勢だ。
お客様の課題や目的を丁寧に聞き取り、状況に応じて柔軟に対応する。そして、専門的な内容を分かりやすく伝え、最後まで責任を持って形にすることが、信頼につながっているのだと感じた。
(執筆:だいしん総合研究所 辻 和樹)
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