入居までの軌跡とこれからの「夢」―だいしんシェアオフィス「夢はなて」
大阪信用金庫は「この街のホームドクター」として、企業の資金需要に応える金融機関本来の役割に加え、まだ起業に至っていない「潜在起業家の夢の実現」を加速させる場づくりにも力を注いできました。
その取り組みの一環として、2022年(令和4年)7月11日、はなてん支店2階(JR放出駅直結)にだいしんシェアオフィス「夢はなて」を新設しました。
以来、創業準備者や創業間もない事業者の活動を支えています。
この度、「夢はなて」は開設から4周年を迎えるにあたり、会員である私、株式会社BFcompanyの大畑明仁が、3名の会員さんに「夢はなて」に入るまでの経緯と受けてきた支援内容、そして今後についてお聞きしました。
「夢はなて」を「使い倒す」
松永真琴さん / カコ企画株式会社 代表取締役
松永さんの「アート」
「アート」といえば多分10人中5人以上の人が「よくわからない」とか「才能のある人だけの世界」とか自分にはあまり関係ないと感じている人が多いのではないでしょうか?
私も取材前はアート≒絵の専門家というイメージを持っていました。
しかし松永さんの会社(株式会社カコ企画)のトップページをよく見ると「絵」のように見えた中に無数の文字が書かれています。
ガラスに文字を書くかのように、電動工具で直接刻み込んでいったとの事です。
これまでの軌跡
東京藝術大学大学院まで、現代アート作家を目指してきた松永さん。
「就職」という型に収まるのがとにかく嫌で、大学院に進学、大学院終了後も就活をせず、定職に就かないまま結婚、出産。
育児の現場では溢れ出る言葉を作品制作にぶつけることができないため、SNSに文章を綴り始め、それが現在の活動につながっているそうです。
「クリエイティブの力で、人類の幸福の総量を増やす」
「クリエイティブの力で、人類の幸福の総量を増やす」との想いで活動を続ける松永さんは、 出産や育児などの日常生活の様子まで面白おかしく「表現」を続けており、現在「かざり」というハンドルネームでブログ・noteを投稿しております。日常生活の様子を面白おかしく「表現」した内容が受け、現在総フォロワー数は15万人。
また、2020年よりオンラインの女性専用イラストコミュニティ『イラスト大教室』を運営。先生や講座を置かない仕組みを通じて、自分らしい表現の楽しさと可能性を広げています。
「夢はなて」を「使い倒す」
「夢はなて」に入居した目的は、アートやクリエイターの世界の外にある社会と接点を持ち、大阪信用金庫や大阪産業局といった支援機関の力を借りながら、クリエイターとビジネスをつなぐ取り組みを進めるためです。
そこで入会後、「夢はなて」のセンター長を質問攻めにし、多くの起業に関する情報をもらいました。また、「夢はなて」やだいしん総合研究所のスタッフのアドバイスのもと、近畿大学との共同研究や大阪信用金庫の取引先との協業を進めていっています。
これからも「夢はなて」と大阪信用金庫を使い倒したいとのことです。
「夢はなて」から「中小企業のDXを応援する」
戸田和子さん / 株式会社OKN 代表取締役
これまでの軌跡
就職氷河期の中で外資系企業に就職し17年間勤務しましたが、ライフプランとの折り合いを考え退職。その後、専業主婦やパートを経て、2022 年に経済産業省主催のDX人材育成講座でAIやデータサイエンスなどを学び直しました。
しかし、年齢やキャリアブランクもあり再就職は叶わず。そこで、前職での経験と新たに得たデジタル分野の知識、コミュニケーション力を生かし、中小企業のDXを支援したいと考えるようになりました。
LED関西からDX推進支援の道へ
転機となったのは、女性起業家向けビジネスプラン発表会「LED関西」のプレイベントです。そこで大阪信用金庫の担当者の方に声をかけていただき、構想段階だった事業計画に具体的な助言とブラッシュアップの支援をいただきました。
エントリーに向けた伴走支援で事業の方向性がより明確になり、ファイナリストとして登壇。その後もご紹介を通じて取引先とのご縁が生まれ、現在の事業基盤へとつながっています。
現在は、デジタル化を進めたいものの、資金や人材の面で自社だけでは難しいと感じている中小企業、そして年齢やキャリアブランクにより活躍の場を得にくい人材、その双方の力になれる存在を目指しています。
「夢はなて」の支援と思うこと
「夢はなて」は金融機関が運営していることによる信頼性に加え、資金面の相談体制や知財・法務など専門家との連携機会がある点が大きな強みと感じています。また、入居者同士の交流やイベントを通じて、新たな視点やネットワークを得られる環境も整っています。
起業など夢にも思っていなかった「ただのオカン」が事業を始め、継続できている背景には、大阪信用金庫という地域金融機関による実践的な支援と、「夢はなて」という場の存在があります。
「夢はなて」やだいしん総合研究所のスタッフの皆さんの支援を受けながら、中小企業にDXを普及して行きたいと思います。
「夢はなて」に「出勤する」
田川潤一さん / TeraGroove合同会社 代表社員
これまでの軌跡
九州芸術工科大学大学院を卒業して松下電器産業(現パナソニック)に新卒入社、開発畑一筋30年で、パナソニック時代にSD-Jukebox、超指向性マイク、R&Dの新技術、ウエラブルカメラ等の開発に従事。SD-Jukeboxに搭載の新技術「ミュージックソムリエ」はCNNニュースにも取り上げられました。これらの新技術の開発経験を活かし、管理職になるよりも「生涯現役」を貫きたい!と定年5年前の55歳で早期退職してTeraGroove合同会社を立ち上げられました。
実は50歳の時に5年後に独立する事は決めていて、5年の準備期間を経てキッチリ「納期に間に合わせた」田川さんは、さすが、プロエンジニアです。
仕事への向き合い方
現在はパーソルキャリアのHiPro Biz等を通じて、キャリアを知る大手からの引き合いが結構あり、顧問先からは自社でエンジニアを育てるより遥かに早くて安価だと喜んでいただいているようです。
DX推進でお困りの企業様からの引き合いが多く、大阪信用金庫さんには申し訳ないですが今のところ「借金の必要はなく(一度言ってみたい(笑))、現在ご支援している企業のお困りごとにしっかり向き合っていきたい」との事です。
しかし「仕事を丸ごと請け負う」も良いが、「人に教える、共同開発する」にも興味が出てきて、プロ人材を育成、顧客のDX需要にもっと広く応えていくべきとの考えも。
また頭の中の三分の一は趣味の音楽の事を考えているとも。
夢はなてと田川さん
「夢はなて」には、ほとんど毎日朝から「出勤」していて、快適な仕事スペースもあって、とても使いやすいようです。
「夢はなて」に入って、他の企業さんと一緒に仕事をする機会もあり、2025年の大阪・関西万博では、大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジで大阪信用金庫さんの取引先のシステムを手掛け、その縁で現在もDX推進を支援されているそうです。
いずれ「夢はなて」内でご縁があった人と一緒に何か共創の機会があればいいし、「日本の未来を変える」大きな仕事にもチャレンジしていきたいという夢をお持ちです。
また自社ホームページは今のところ営業する必要もないのでまだ作っていないけど、必要になればすぐ作れるという事なので、かなり専門性の高いページになると思います。同じ音楽好きとしてもとても楽しみです。
事業の芽に寄り添う「夢はなて」
この10年でインターネット環境と情報流通の仕組みは大きく変化しました。 さらに近年のAIの進展は、働き方や事業のあり方そのものの激変を予感させます。
こうした時代の変化を見据え、大阪信用金庫では、資金需要が顕在化してから対応するのではなく、その前段階から事業の芽に寄り添い、地域経済を活性化させる体制づくりを進めてきました。すべては、この街で暮らし、働く人々の幸せのためです。
働き方が変われば、雇い方も変わります。
これからも「夢はなて」は、事業の芽を育てている起業家の皆さんを支援します。
取材・執筆
株式会社BFcompany 代表取締役 大畑 明仁
だいしんシェアオフィス「夢はなて」
項目 |
内容 |
|---|---|
所在地 |
大阪市鶴見区放出東3-21-40 ローレルコート放出205 |
アクセス |
JR放出駅直結の大阪信用金庫の「インキュベーション施設」 |
電話番号 |
06-6964-5077 |
メール |
hanate@osaka-shinkin.co.jp |
営業時間 |
月曜日から土曜日の8:00~21:00 |
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